
アーク・オブ・ア・ダイバー
スティーヴ・ウィンウッド
1980/12/31
売れて本当に良かった。って思えるミュージシャンおります。
中には、え?売れちゃったの、でもこれじゃなあ、って逆に心配になっちゃう方々もおるけど。
音楽芸人は売れてそれまでと比較にならないほど世間で有名になった時が、チャンスでも有り、また最大の危機でも有る。
それまで長い下積み苦労をして来た人ほど。
途端に大金が転がり込んで生活が一変、貧乏人は金の使い方知りませんから思い切りそれに溺れてしまう可能性有り。
そして歌が作れなくなる。満足と幸福は哀しいかな歌が作れなくなるんす。そこでどうするか。
どれだけ正直に音楽をして来たか、愛してるか判明してしまうだよ。
そうじゃないと余計な事業とかおっ始めちゃって失敗してタイホされちゃったり騙されちゃったり、してる人いるなあ日本にも。
TKとか(マイアミじゃ有りません)とか言う。
だいたいホリエモンとかと友達で、自宅にはサッカー・ゲームする為にTVが11台有るとか聞いた時点で、ああ、こいつはろくなもんじゃねえ、その内ドツボな不幸待ってるぞと俺ですら思いました。
お金は、いくら増えても、その分、生活レベルを上げちゃったら、結局は同じってことだ。鈍感になるだけ。
反対に貧乏でも、生活レベルを気にせず落とせれば、それも同じ。幸福は幸福のままでいられる。
ここにいくら売れようが、いささかも関係無い生粋のミュージシャンおります。
スティーヴ・ウィンウッド氏

日本のその誰かさんと同じように、子供の頃から音楽漬けで育った方。
成功も早く、60’sには既に栄光の日々を。トラフィックを始め、様々なウルトラ・グループにて。
しかし70’sには、アルバムは売れても、シングルはさっぱしとゆう時を向かえて、
77年になって待望の初ソロ・アルバムをば。
これがまたおいおいって心配になるほど、超然とした存在で。またまたアルバムはそこそこ売れたけどヒット出るはずも無し。
そして3年の沈黙に入る。
凹んで沈黙したのかと思わばさにあらず。
じっと機を伺っていたのだ。
テクノロジーの急激な進歩の兆しを察知して、次こそは己丸ごとアルバムを作るべく。
その音は頭の中に既に有り。じっくりと歌を作る。
そしてその頭中の音に追いつき、実現出来るテクノロジーがカツカツ到達した時、それが為されました。
2ndアルバムとして
アーク・オブ・ア・ダイバー
〜Arc of a Diver

当然当時最先端の音。そしてシングル・ヒット、それもスーパーなのが2曲生まれる。
1st聴いてとことん愛した身では、まるで考えられないことでした。
でも、納得した。で、大喝采!
それはいささかもウインウッド氏変わっていなかったから。
まるで変わらずに、同じで有って、同じで無いことをする。
ウルトラなミュージシャンは皆そうです。
時代に合わせて音楽を創るのでは無く、自分史、体内時計で変化した帰結で生まれるものしかしない。出来ない。
ですからその音は、30年経とうが100年経とうが古くならんのだ。
何かが変わったとすれば・・・あの必ずどっか字余りでまとまっていない歌が、ここでは見事にどんぴしゃしてるとこ。
練りに練った3年の時が、字余りを削ぎ落としたのか。
特に2枚の大ヒット・シングルは皆そうです。

ユー・シー・ア・チャンス
アーク・オブ・ア・ダイバー
3枚目のシングルは、本来の自分がいささか出てますのでヒットせず。
世間は厳しいよ。逆に自分に合わせてくれなきゃ買ってくれないとこあるもんな。
ナイト・トレイン

です。
♪
夜のしじま 灯りで燃えている
列車 黒く輝く
俺は振り返らない 人生は走っている
望んでいる いつの日か 誰かが言ってくれることを
俺はやってのけたって
闇を振り払え
太陽を呼ぶ込むのだ
夜行列車で下り
俺は感じる 星明かりが飛んでいくさま
生きる時を使い切って 夜明けを探している
国境警備員が俺を見透かすように見る
名も無き街は、皆同じように見え
俺は叫びを聞いている
パリからスペインへ 苦痛の中の国々
飛び抜ける その様を感じている
死に行く欧州
夜行列車で下り
俺は感じる 星明かりが飛んでいくさま
生きる時を使い切って 夜明けを探している
転がっている 車輪のうめきを聞く
熱気がやたら強烈に着続ける
俺のキップは使った 消えていこうとしている
俺はそこに辿り着きたい
俺が出て来たところじゃなければどこでもいい
暗闇から、すべての狼は吼えている
俺は腕を組む 暖まろうとして 信念の元
夜行列車で下り
俺は感じる 星明かりが飛んでいくさま
生きる時を使い切って 夜明けを探している
本降りの雨 どしゃぶりだ
冷たく車輪は廻り続ける
みんな 彼らは一人ぼっち
下り列車の中で
本降りの雨 どしゃぶりだ
冷たく車輪は廻り続ける
みんな 彼らは一人ぼっち
下り夜列車の中で
夜列車の中で
夜列車の中で
おう
ギター
本降りの雨 どしゃぶりだ
冷たく車輪は廻り続ける
みんな 彼らは一人ぼっち
下り夜列車の中で
本降りの雨 どしゃぶりだ
冷たく車輪は廻り続ける
みんな 彼らは一人ぼっち
下り夜列車の中で
♪
こんな寒々とした歌がヒットするわきゃ無い。
でも唄う。そして弾く。あの点描ギターを。
遅いぞ。例によって。愛するものにはたまらん音で。
シーケンサーのデュレイ・シンセを引き裂くように。
そしてラストは、いささかも容赦の無い、字余り長尺大陸歌。
その広さに眼前が目も眩むようにアルバムは終わります。
とても幸福に。

やりきったんだから本人も幸せ。
やりきられたのだから、こっちも幸せだぜ。
(山)2008.11.6
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アーク・オブ・ア・ダイヴァー(紙ジャケット仕様)
アーク・オブ・ア・ダイバー
Arc of a Diver

ろっくす特製でかいジャケットのページ也。

Steve Winwood - Night Train
http://jp.youtube.com/watch?v=oDALJ9SD1y8
Steve Winwood, "Night Train" audio
http://jp.youtube.com/watch?v=LOZiPT1m-4c
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ろっくすスティーブ・ウインウッド氏のページ
資料
資料(英版)
English Version
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