2008年11月13日

イタリアン・グラフィティ/ニック・デカロ 1974

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イタリアン・グラフィティ
ニック・デカロ
1974


誰なんだ、このおっさんは?
知り合いの結婚式にいた謎の外国人さんみたいな。

ニック・デカロ氏と申します。

イタリア系アメリカ人。あのウィッキペでも資料が無いつう。そのくせ検索ではやたらと名前が登場する。
米音楽界でこの人有りの裏方アレンジャーなのだ。
知らない内にPOPSを聴いてる人はこの方の関わった仕事を聴いてる。
100人以上のミュージシャン、200枚以上の盤で登場してますから。
例えばジェイムス・テイラー兄さんの”シャワー・ジ・ピープル”。あの夢のようなサウンド。
ハーパース・ビザール。マリア・マルダー嬢の”真夜中のオアシス”の弦。
あの夢のような。
山下達郎氏のカバー・アルバムも出したそうな。

1939年生まれ。父ちゃんは今ヤバいGMの工場で働く行員。
きつい仕事に子供たちだけには違う人生を歩ませたいと好きな音楽の道を進ませるべく、
バックアップす。兄ニック君にはアコーディオンを、弟フランク君にはギターを買い与えて、星一徹化・・はしてない。
暖かく見守る。
その希望に答えてニック兄さんは5歳の頃にはラジオ番組に出て大喝采を受け、以来、もー音楽三昧。
ロックンロールの誕生の場にも立会い、50’s後半、トミー・リピューマつうサックス吹きと知り合い全米ツアーまたツアー。
しかし嬉しくも過酷なその生活、長く続くはずもなく、トミー氏は、東海岸でプロモーターとして働くように。
一方、ニック氏は兵役に。
無事帰還したその時、62年、トミーちゃんから一本の電話が。
「LAに出てきんしゃい。こっちじゃすげーことになってるぜよ。」
持ち金は、2,3ドル、ボロボロのポンチアックに乗って兄弟は太陽の地に向かう。
そこで待っていたのはさんさんと輝くサンと、リバティ・レーベル梁山泊に巣くう音楽の魔物野郎ども。
レニー・ワロンカー氏そしてランディ・ニューマン氏、ヴァン・ダイク・パークス氏。
そこからはもー、さらにさらに地獄天国の音楽三昧生活が待っておりました。
性格温厚、しかし好きこそものの上手なれ、恐るべき音楽才能を発露し、どんな現場でも、どんな曲でもそこからマジックを発見し、
あっとゆうまにスコア書き上げ、みんなをびっくりさせるって。
60’s後半にはあのA&Mに本拠地を移し、初ソロ・アルバムも出しました。「ハッピー・ハート」。
わたしゃ聴いたこと無いんすが、インスト・アルバムだったといいます。
それがチャートを上がり始め、やっと自分自身の成功が・・・とゆうその時、
アンディ・ウイリアムス氏がタイトル・ソングに歌詞を付けて出す権利を頂いちゃってヒットさせちゃった。
当然、本家は尻つぼみ。ガーンと大リーグボール打たれたかのような衝撃受ける。
そしてまたまた裏方生活に。ショックを受けても音楽からは離れられません。
お金なんか二の次三の次、24時間音楽魔法のフリカケを作る生活を続けてさ、半年も郵便箱を開けなかったんだって。
金の管理はどうしてたんだろ。???
そして時は経ち、74年。盟友トミー・リピューマ氏が、自身でブルー・サム・レーベルを立ち上げる。

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好き勝手にやりたいことだけやる、青親指指紋レーベル。どーゆー訳かあの銭の亡者のabc傘下で。
当然、デカーロさんのアルバム、2枚目製作を画策します。
標語は

「雰囲気はカーペンターズ!でもタフで刃を持った。」

イタリアン・グラフィティ
〜Italian Graffiti


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製作は当然トミーさん、アレンジ・歌は、これまた当然ご本人。
呼んだミュージシャンは、

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ドラムスにポール・ハンフリー&ハーヴィ・メイソン両氏(切れ有り過ぎて歌伴にはキツいと言われておった)
ベースに、クルーセーダーズのサックス吹き、しかしベース名人、ウイルトン・フェルダー氏(ダン団員です)
ギターに、アーサー・アダムス氏、デヴィッド・T・ウォーカー氏、
これを称してダイナマイト・リズム・セクション。
さらにザッパ大明神の”ホット・ラッツ”で御馴染み、ベーシストのマックス・ベネット氏ら。
極上人脈を呼ぶにはコネ有り過ぎるねん。

曲は全部、これと見込んだ人の曲。アレンジの達人、それでこそ本領発揮す。

1曲目、奇跡的にユーチューブに有りました、
アンダー・ザ・ジャメイカン・ムーン。
全世界軟弱音楽好き者王、スティーヴン・ビショップ氏&ラス・カンケル夫人のリー・カンケルさん作。
聴いてたもれ。
そして
スティーヴィー・ワンダー氏の曲が2曲。

どスタンダードの”ティー・フォー・トゥ〜二人でお茶を”、

ジョニ・ミッチェル嬢の”オール・アイ・ウォント”。本人では絶対しないアレンジで。

トッド・ラングレン氏のKOバラード”ウェイリング・ウォール”。裸で。

何とザ・ハッスル・ヴァン・マッコイ氏の曲も。

そしてランディ・ニューマン氏の”町はねむっているのに”。
ランディさんがパークスおじさん以外で、人にアレンジを頼んだのは、このデカロさんだけです。
あの”メアリー”。

アコースティック・スイングの帝王、ダン・ヒックスおじさんの”キャンド・ミュージック”
本人じゃそれこそ絶対しないアレンジ。しかしダンさんの曲そのもの。

ラストはあの”タペストリー”じゃない”タペストリー”
最後にはこの曲だと見込んだ。

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歌声は・・・へにゃです。普段唄ってない方の声。
とうしろうと言ってもいいほどの。でも下手かと言えば下手じゃない。
自分で出来ることやろうとしてることが見えているから。
そして何よりも
名工の思いと技がテンコ盛りで詰まってます。

あとはもう聴く人次第。

当地でのセールスは惨憺たるものだったと。
しかし我が国では、見つける人が見つけ、つい人に言ってしまい、またその人がつい人に言ってしまい・・
今に至り
CDは日本盤のみ。

我が家にあるLPは77年発売のもの。やたらと解説でソフト&メローの先駆者って煽り。
ブームの中に入れようとしとる。
けど
そんな杞憂は無駄だったわ。
元からこの音楽は有ったし、そんな音楽には時は関係ありゃしません。

「ヒットを出そう!」。そんな思いで音楽続け、
しかしその”ヒット”とは、同業ライバル達を”うううーん”って唸らせるもの。
そんなマジで巨人の星みたいな話が現実社会で有りました。

それだけでもう夢のようです。

(山)2008.11.13

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イタリアン・グラフィティ

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ろっくす特製でかいジャケットのページ也。

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Nick DeCaro - Under the Jamaican Moon
http://jp.youtube.com/watch?v=l86G34G6Mwk



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