2009年03月10日

ギター殺人者の凱旋/ジェフ・ベック 1975/3

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ギター殺人者の凱旋
ジェフ・ベック
1975/3


身が引き締まる思いです。
何度聴いても。そのたびに直立不動。しまいにゃ反り返っちゃう。
ギターにその一生を捧げ高野山聖僧職人道をひた走る鬼人間、
ジェフ・ベック師、1975年作、

ギター殺人者の凱旋
〜Blow by Blow


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これがどんぴしゃの時期、まさに機は熟せりに初のギター全開オールインストとなった盤。
身が引き締まる重いです。
何しろ指揮官上官がジョ−ジ・マーティン元帥。
始終ニコニコ顔ながら、出来ねえ奴ならそのままほっとき、
出来る奴だと踏んだなら、血も涙も無い作戦指令を出して、ただやらせる。
一発で決まる時もござろう。
しかしおそらくやらせてあかんかったらニコニコしてもう一回、またやらせて駄目だったらもう一回、
職人はハナからそんなの無理だ、出来るわけねえとブツクサ言ってるのに。さんざやらされてもう限界、
テンパって意識飛んだその瞬間のテイクがOK。となった数々が納められてると推測されます。
だからアウトテイクはきっと数知れず。しかし生きてる間は意地でも門外不出となって悪魔札で封印されてる。
アウトテイクはアウトテイクですから、陶器職人なら割ってる。そうだ音楽職人ならテープ引きちぎってるかもしれん。

プロで極限の名人が、人跡未踏の地を限界超えて到達した時、

マーティン元帥、人に訊かれたらこう答えていたでしょう。

「そんなこといったい可能なんですか?」がく〜(落胆した顔)

「まあ無理だろうな。だが戦争の時は人って奴は火事場の馬鹿ぢからで何とかやっちまう時があるもんだよ。」ドコモポイント

byナバロンの要塞。

ここは音楽戦時下です。爆弾

プロで極限の名工が遂行不可能な作戦を為し遂げた時、俺らは背筋凍らせて末代まで鳥肌立つことになります。
それを為すのはもう意地でしかなく、
バックの英国音楽界から冷たい空っ風で干されていたファンク・ブラザー連中、

マックス・ミドルトン氏
フィル・チェン氏
リチャード・ベイリー氏


同じ業を持つ類は友を呼んだ梁山泊ハミングバードとゴンザレスからはせ参じ、一世一代の仕事為す。
俺たちはここにいるぞと。

現場先頭指揮官ジェフ・ベック少尉、当然自ら先頭に立って角度105度高さ150mの絶壁に挑みます。
ただ弾くだけでは当然そんなん昇れない。
彼にしてここまでやるのか、やってしまう、やってしまったではないかの技で。

もっとも後世に伝わる

哀しみの恋人達

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を聴いてみましょう。一聴ロマンチックで悲しげで泣く。
だが油断して聴くなどとんでもない。一音一音、手練手管は遂行されてます。
指やらピックやらその脳髄から直結された部位は音を出すたびトーンをいぢくり怨霊音量いぢくり弾く角度を変え放す機会を変え、
無辜の情景唄う。声を出して。

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彼の声帯はギターです。

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それで生きて来た一代限りの横綱。後にも先にも彼だけ。
そして1975年、ファンクがその命を最も輝かせていた年。
向こうには同じファンクを根こそぎぶっ立たせた、ゼップの”フィジカル・グラフィティ”有り。

こちらは”ブロウ・バイ・ブロウ”・・・・タイトルを交換してもOKなくらい見ていたところは同じかと。

すべては人とゆう柔なくせに何をやらかし出すかわからん存在が説明不能なことをしやがったあげく。

日本盤LPには楽譜がついてます。
「完コピ」と銘打って。

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そんなわきゃあねえのはオール人の知るところ。
楽譜などに現せる代物なら、はじめっからやっとらん。見えないほど曇りっぱなしの鏡みたいなもんだ。

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それよりも表してるのは、その楽譜の裏側の、
むしろLP2枚大の少尉立ち姿の方だと確信いたします。

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↑注:上半分のみ。

(山)2008.3.10

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Blu-spec CD ブロウ・バイ・ブロウ

ブロウ・バイ・ブロウ

Blow by Blow

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ろっくす特製でかいジャケットのページ也。

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哀しみの恋人達 - Cause We've Ended As Lovers (Wonder)  Jeff" Beck
http://www.youtube.com/watch?v=THnbh5lTqSY


jeff Scatterbrain
http://www.youtube.com/watch?v=D5sCWC6EYJ8


Jeff Beck - Air Blower
http://www.youtube.com/watch?v=Ia_ZCGFA9nk

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↑当時ML誌レビュー

ろっくすジェフ・ベック兄いのページ

資料

資料(英版)

English Version

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posted by 山 at 08:47| Comment(2) | TrackBack(0) | ギター屋兄貴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
父/Stevie Wonderboy(BCジュヴェナイル優勝)
母/シリータ(浦和1勝)
という配合で
「カナシミノコイビトタチ」
なんて馬がいて欲しい。
…軽く9文字超えてますやんか。。。

ワイヤード、ゼアアンドバックあたりは
爽快なかっこよさが目立つ反面
若干フュージョン臭が時代がかって
聴こえなくもないんですが
このアルバムは自分にとって陳腐化とは
無縁の存在です。
Gマーティンのさじ加減ひとつなのかも
しれないですが
丁寧に作りこんである印象があって
いまだに噛めば噛むほどスルメ
(何年噛んでんだよ俺は)的に
味が沁みだしてきます。

そう、完コピは無理でしょうね。
フレーズなぞるだけなら出来ても
弦の軋みや擦れる音まで
意味あるノイズに昇華されてしまうと
もう真似なんて野暮になってしまいます。

しかしCDのAir BloewrとScatterbrainの
繋ぎ目がどうしても馴染めない。
あのクリーントーンのゆったりしたパートは
どう聞いてもScatterbrainのイントロだと
思うんですけどね・・・
Posted by peko at 2009年03月13日 21:18
わはは、買います、その馬。
気性が荒いのか大人しいのか、すげームラ馬っぽそう〜。

>繋ぎ目がどうしても馴染めない。

CD持ってないんで、その継ぎ目味わえません。
味わいたいーーー。何ちゃって。あはは。
はい、
わたしもスキャッターブレインの前哨戦だとあれは思います。
Posted by 山 at 2009年03月13日 22:42
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