2009年06月17日
ミンガス・プレゼンツ・ミンガス/チャールス・ミンガス 1960/10/19
ミンガス・プレゼンツ・ミンガス
チャールス・ミンガス
1960/10/19
田宮二郎氏の名もわからぬノワール映画を見たら、猛烈にジャズ漬けになりたくなり申した。
何しろ画面中登場する音楽は、沈黙無音と激烈ジャズ。お話は産業スパイの阿修羅仕事。
全編苦虫噛み太郎です。
なのでその世界で一番の苦虫噛み太郎と言えば
チャールス・ミンガス親方。
アルバムは
ミンガス・プレゼンツ・ミンガス
〜Charles Mingus Presents Charles Mingus
1960年10月19日にニューヨークのノラ・ペントハウス・サウンド・スタジオにて録音。
メンツは
アルトサックスとバスクラであのエリック・ドルフィー氏。
トランペットでテッド・カーソン氏。
ベースはもちろん御大。
ドラムスでダニー・リッチモンド氏。
まず親方が行ったこととゆうたらメンバーをオーネット・コールマン氏のライブに連れて行き、
こんな風にやれとのたまわったらしい。
ならコールマンさん呼んで演ればいいのにー。それは嫌だったのね。言うこと聞かなそうだったから。
で、想像ですが、
全部作曲して、
「いーか、作曲の名義は全部俺だ。アルバム・タイトルは”俺、やる、俺”。わかったな?」
「へーい。」
「が、この通りやっては絶対いかん。」
「へ?」
「この通りやってはいかんがこの通りやれ。この通りの音をこの通りやらずに俺の演りたいことを汲んでやれ。
出来なかったらシバくぞ、ごらあ。」
「そんな無茶な。」
「無茶も何もあるかあ。すぐやる今やるこのままやる。」
「鬼ーーー!!」
しかし鬼は、これだけで子分を勘弁させるわけありません。
各曲の最初に何言ってるかわからん曲紹介を自ら入れます。
「ぎゃ、そんなことされたらあとで編集出来ないじゃん。」
「てりめえよ。おめーら、間違えたらもう一回やって、俺にこれ言わせるつもりじゃねーだろーな。」
怖。皆さん全身金縛り状態。
オマケに曲中、やたらと叫びまくり申す。これで編集不可とどめの決定。
「うおー、どこまで楽譜どおりやりゃいいんだよー。」
渾然一体です。
まずテーマが有って、それから全員インプロになだれ込み、頃合を見計らってテーマに戻って終わり、
つう定番進行が出来ん。
みんな、親分の顔色見ながら・・・・ええい、こうなりゃヤケクソだ、何とかなるわい。
キング・クリムゾンのアースバウンド状態発生しかも勝手に出来ない。
出だしは親分から。何とファンク・ベース弾き出す。
ピアノがおりませんので、激辛料理です。間で埋めてくれるヤツがおらん。
全部単音楽器音ですんで、より一層ハード。
まるで目の前で演奏してくれてるが如くの音質。
ここに全然くつろげなく、まるでお洒落じゃないジャズ開始だぜ。
もっとも大変なのはドラムスのダニーさんかも。
何しろ親分たらいきなし演奏止めちゃうんです。それに合わせてドラムスも止めねば。
それもえー感じで4ビートかましてる時に限って止めるからかなわん。
親分がソロやりたい時には見てなきゃならんし。
と、
まるで剣道の試合で突きしかしてないが如くのプレイが続く。
「突きー!」
「ぐえ。」
「突きー!」
「ぐえ。」
「お突きーーー!」
「ぐえ。」
何でその曲が終わるのかよくわかりませぬけど終わります。
で、
”フォーバス知事の寓話”って曲に突入。
ディック・トレーシーのテーマのようなハードボイルドメロ炸裂に合わせて歌う。
歌ってるよ。
「お前も歌え。」
一緒に歌わされてます。
聞くところによりますとそのフォーバス知事が蛇の次に嫌いだったらしく、何を歌ってるかつと、
罵倒
だったらしい。
罵倒観音。
いやあでもわしゃディック・トレーシーのテーマ大好きですから、こんなジャズに漬かりたかったと喜ぶ。
それでA面は終わり。エーメン。
裏返ってまたも曲紹介。
”愛って何?〜ホワット・ラブ”
これがまた静かなるツバ競り合いで始まり、ぐさっと突く隙を狙うお互い様。
静かな展開の時が一番困る。
だってすげー目で睨んでるからさー。
悶絶して
屁の臭いがするような吹奏楽器の吹く空気が飛んでくるよ。
打ち合わせ無しの殺陣なり。
で、これが、人間追い詰められると出るのが筋肉マンの火事場の馬鹿力。
恐るべきドルフィ氏の音玉です。
途中親方との直接対決有り。
どーせサックスの音じゃ何言ってるかわからんじゃろがーと吹く音で
「てめー、このクソ親父。ざけんじゃねー。ギャラ安いぞ。やってられるかこのー。クソヤロウ、アホ、ばかばかばか。」
対して親方、
「文句言うんじゃねー。俺様を誰だと思ってんだ。青二才め。」
「ばか」
「ガキ」
「ばか」
「ガキ」
子供のケンカだよ。
それが突如、アンサンブルしてるアンサンブルに戻る。
誰が戻したんだーーーー?!
なんてね。15分23秒やるんです。愛って何?
やっと最終曲、聴いてるこっちはもう終わりの曲〜?
題して
”汝の母、もしフロイトの妻なりせば”
何のこっちゃ。
「世界中のすべてのおふくろさんに捧げるぜ。」とか曲紹介してる模様。
と、
ゴジラとアンギラスがクビの齧り合いしてるような演奏始まり。
ぶっ飛ばしては、急停止、ぶっ飛ばしては急停止、
没入して聴かばムチ打ち確実。
救急車が飛んで来ます。だって救急車の音、吹いてるもん。
♪キチガイが発生していますキチガイが発生しています、あ、俺かキチガイは♪
突如、二本のラッパは合体し、病院に4人三脚で駆け込み終了。
どうやって合体したか不明。
などとゆう
くんずほぐれつでぐそぐそに悩みたいプログレ野郎には至福この上ありません。
何しろ、先が読めぬ。このあとどうなるかわからん音楽。
現実生活ってのも、一寸先は闇か光か、わからぬが常でありますので、
これがジャズと申すものであります。
(山)2009.6.17
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Charles Mingus Presents Charles Mingus
ろっくす特製でかいジャケットのページ也。
*この盤からは有りませぬ。同時期の・・・
Charles Mingus Jazz Workshop -Close
http://www.youtube.com/watch?v=3cNLhv9G9kc
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ろっくすミンガス親方のページ
資料
資料(英版)
English Version
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