
マッド・マン
エルトン・ジョン
1971/11/5
青春とはなんだ?

劣等感の糞溜にどっぷりつかり、出来ないことだらけでうごーっと落ち込み、
その裏返しで覚えたばかりの理屈をこね回し、尊大になり卑屈になり、根拠の無い自信をひけらかし、
あとでどーんと落ち込み、男子は別の煩悩にとりつかれ、女子は恋に恋する乙女?。
それまでキャッキャ騒いでいた稲中卓球部が急に大人しくなったり、逆なヤツもいたり。
年がら年中、何だか正体不明の不安と悩みを抱えてたような気がするなあ。
齢50がもうすぐ見えてくると、まだまだ青春だあと強がってみてもあの感覚を取り戻すことは無いでしょう。
普通なら。
しかし音楽好きは違います。
ありありと思い出すことが出来る瞬間にたびたび遭遇す。
たとえばこのアルバム。
マッドマン
〜Madman Across the Water

本人は思い出すことがあるのかなあの風貌たたづまいになってしまった
エルトン・ジョン君、1971年11月5日発4作目。
御歳24歳の時の。

朋友歌詞担当のバーニー・トーピン君はちょうど20歳。

ユーミンさんが荒井由実さんだった最後の盤”14番目の月”と同じ位置に。
これ以降、エルトンは最初の別人28号になります。
最後の劣等感糞溜盤。

最初に書いた青春模様が、上に下に右に左に中に外にぎゅうぎゅう詰めに詰まってる。
少しでも感受性が残ってる方なら、胸がきゅんきゅんしちまって、同時に恥ずかしさがどーんと襲って来て、
いとおしくなってどうすりゃいいのさこの私状態になるでしょう。

製作はいつもと同じガス・ダッジョン氏。
第3の男となってるは、弦アレンジ担当の大ポール・バックマスター氏。
そのでっかく鳴り響く弦は情けない偉いんだぞ俺様をあまつところなく表現しております。天津敏さんの顔くらい。

バックのメンバーは、おなじみエルトン・ジョン・バンドの面々、
ナイジェル・オルソン氏、ディー・マレイ氏、デイヴィ・ジョンストン氏で固めているかと思わば、これが、
ほとんど違う。
後に新エルトン・ジョン・バンドとなる、そして最初からの付き合いの連中のロジャー・ポープ氏、カリブ・クエイ氏らと、
何とリック・ウェイクマン王、股ぐり長し男クリス・スペディングちゃん、テリー・コックス&ハービー・フラワーズ両氏それは英国凄腕リズムセクション、
数少ない女子の友達のレズリー・ダンカン嬢、変身後の長い付き合いとなるレイ・クーパー禿爺、
ら
蒼々たる面々でこの青き春落とし前アルバムを盛り立てる。

わたくし、ファンクラブ会員でありましたほどのエルトン好きでありますが、こいつはずっと苦手でした。
あの”ユア・ソング”の入ってる2ndと共に。
初期は大好きなのに。
肝心な2つのアルバムが苦手って・・。
てのは
そのむき出しの劣等感が辛かったからです。若いころの暗さがドッと出てるところが。
弦の重さに耐えられなかったってのもある。

一番の理由は、
若きころ、初めて買ったヤツが横浜のユニオンで買った中古、300円。
値段に釣られたんすが、これが聴いたら針飛びでまともに聴けないほどの極悪盤質で。
安いのに手を出した自分が悪かったのだと、中身が死んでる豪華ジャケを見ながら洒落にならない劣等感を持ってしまっていたからです。
今の安い中古LPは、よっぽどのことが無い限りそんなことは無いよ。
実際、性懲りも無く、またこれはセコハンで買ったのだ。
そしてハマったのだ。
ずうずうしくも。
こんな親父になって。
青春胸キュン。

こないなこと、人に話すのは恥ずかすいよ。
って、書いちゃってるじゃん。
すべからく人生あとの祭り。
全部背負って行きましょう。
エルトンさんもね。よろしく。

(山)2009.7.15
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マッドマン(紙ジャケット仕様)
マッド・マン
Madman Across the Water
Madman Across the Water [12 inch Analog]

ろっくす特製でかいジャケットのページ也。

Elton John - Madman Across The Water
http://www.youtube.com/watch?v=1vvRN09HZ_4
Holiday Inn - Elton John (Madman Across the Water 6 of 10)
http://www.youtube.com/watch?v=666JAioPDhM
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↑当時ML誌レビュー
ろっくすエルトン・ジョンのページ
資料
資料(英版)
English Version
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