NPO法人ウルトラ警備団
第3回:帰ってきた男(3)
「ただいま戻りました。いやー、団長、明日のことを思うと、もー胸がワクワクしちゃって。
きっとうまくいきますよー。今も最終チェック、4回もやって来ましたから。」
「ほー、そうか。それはご苦労。ところで・・・」
「あ、お客さんですか?えーっと、この方は・・・?」
「もろぼしダンです。はじめまして。あなたはたしか・・・」
「後生楽男だよ。」
「嫌だなあ、アラシ、いや、フルハシ団員。れっきとした名前があります。
イデです。どーかよろしく。
あなたが噂に聞くセブンさんですか。会えて光栄です、握手してください。」
「こちらこそ。イデさんですか。でもたしか貴方はシリーズが違ったんじゃ?たしかマンの方の・・」
「それが色々ありましてね・・うひひ。」
「だから後生楽ってんだよ。この男のせいで・・・」
「ま、フルハシ。そのことはおいおいと・・。さ、お前も一杯やって。ここに座れ。
今日はダンの歓迎会だ。おお、そして明日の前祝だな。」
「お、ピザですねー。じゃ遠慮なく。かんぱーい。」
「それじゃ、みんな、揃ったところだし・・・ダンにこうなった訳を話すとするか。
フルハシ、頼む。」
「え?長ゼリフ、俺が言うんですか?カンペ無いのかな。」
「ないない。」
「仕方ねえなあ。
えーっと・・・
ほれ、お前が金属疲労でM78星雲に帰ったあとのことだ。
ゴース星人の地底ミサイルで、地球上の主な都市が破壊されただろ。」
「はい。」
「あの時、ダンは死ぬことを覚悟して、地球を助けるためじゃなく、アマギ隊員を助けるために変身したんだわ。
私たち、心から感謝したのよ。」
「うん、本当に感謝してる。改めて礼を言うよ。ありがとう。」
「いや、とんでもありません。それが僕の望みだったんです。」
「うん。そのおかげでこうして全員まだピンピンしてるんだからな。あ、全員じゃないか・・。
ま、それはまあ良かったんだけど、問題はそのあとだ。
何しろ、”世界大戦争”のフィルムの使い回しとはいえ、ロンドン、NY、パリ、モスクワ、北京・・・
全部破壊されちまったんだから、そりゃもう大変だった。世界経済ももう目茶目茶。未曾有の大不況になってな。
俺たち、地球防衛軍、ウルトラ警備隊も復興の手助けに全部廻ったのさ。
で、まー、それは勤めだからいいんだけど、問題はゴース星人が本拠地に構えた日本だけが無事だったってことで・・・」
「でも我々が奴らを倒したから世界は救われたんじゃ・・」
「そうなんだよ。俺もそれを言いたいんだが、世界じゃそうは見てくれなかったんだ。
責任はこの日本にあるってんで、巨額の復興資金を拠出しなきゃいけなくなって。
地球防衛軍日本支部は解散、あ、日本支部だけじゃ無いんだけど。もちろんウルトラ警備隊も解散。
資産は売却されて、復興資金に回されたのさ。」
「でも、それじゃ、新たな宇宙人の侵略に誰も対抗するものがいなくなるんじゃ?」
「そう。だが、そこで登場したのがこの男・・・」
「ははは、私ですね。」
「そう、お前。コイツ、実は地球防衛軍日本支部の科学開発班にいつのまにかいやがったんだよ。
それで、ゴース星人の破壊された基地を調査して、残された装置からあるものを開発しやがった。」
「はい。超兵器R2号。」
「それがまた、地球の軌道上を無人で周回して、近づいて来る侵略円盤をことごとく破壊してしてしまうつう凄いやつで・・」
「でも、私はこうして戻ってこれましたけど。」
「はい、欠点が一つだけありまして、ごく小さなものは捕獲できないんです。遺憾です。」
「それもまた現状のこの有様の原因の一つなんだが・・・。
ま、それで、俺たちの存在意義もパア。いなくなっても全然問題無かったって訳だ。」
「そうだったんですか。」
「じゃ、そのあとは俺が話そう。
そんな訳で解散したんだが、さっきも言ったようにR2は、小さな侵略体への防御機能は無い。
それでな、今までことごとく俺たちにやられていた宇宙人の連中が少人数でスパイみたいに入って来て、
いわばテロ活動だ。大したことは出来ないんだが、それでもやり続けた。特にこの日本に。
それでやっぱり何らかの対抗手段が必要となってね。」
「ほら、地球防衛軍のマンジョウメ参謀、いただろ?あの方があの後、政界に進出してな。日本の防衛大臣になったんだ。
それであの方の肝いりで、ウルトラ警備隊は復活することになった。
だが、さっきの理由で、公に日本がそんな組織を持つことは出来ない。
だから民間のNPO法人って形で、ウルトラ警備団として発足したんだよ。
ここはな、ダン。実はマンジョウメ参謀の実家のマンジョウメ工業の元工場の跡地でね。
工場が中国に移転したんでちょうど空いて、それでここが本部になったとゆう訳さ。」
「なるほど。そんな・・・色々有ったんですね。」
「あはは。ま、人生そうそう色々ございます。」
しんみり
「さ、俺たちのことはだいたいは話したんだから、お前のことを話してくれ。
しかしよく生きて故郷に戻れたもんだなあ。」
「はい。僕も不思議です。あのあと・・・」
.
2009年08月11日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック