Richard Sinclair Sings
Progressive Pop
*プログレ・ポップが好きです。
何だそりゃ。えー、プログレ・ハードがあるならプログレ・ポップってのが有ったっていいじゃない。居並ぶ長尺の組曲の中にそっと咲いてる一輪のマーガレットじゃなくて。シングルにしてヒットしたらいいなあってちょっと思ってるかもしれんが。このちょっとつうのがミソでいかにも売るぞとなるともうプログレでありません。たまたま出来ちゃった演っちゃったって風情が大切です。そんなプログレ・ポップの重鎮と言えば、シンクレア卿。シンクレア卿と言えばダンディ2.ささきいさお。じゃ無くて・・・リチャードのシンクレア卿。
プログレ界カンタベリー地方にこの声有りの唄&ベースの方です。卿の歌があるからくんずほぐれつの演奏でもどこかのんびり太陽の光ぽかぽかになる。数有るそのヴォーカル曲の中でもプログレ3分ポップの名作を集めて聴いてみたい。
まずは
シンクレア卿といやーキャラヴァン。
見るたび嬉しい、張るたび美しいジャケの「グレイとピンクの地」に極め付きの2曲有り。
1曲目は
1.「ゴルフ・ガール」
まあ、これだけポクと聴いたならまずプログレとは思わない一品をどうぞ。どこにも力が入ってません。よく聴くと英国訛りばんばん。どこの地方のかな。やっぱ南部か。この美しくポップな曲、きっかけさえあれば全米ヒットもOKだとは思うけど、おそらくこの訛りのせいでヤンキーは「オー、ノー。田舎ね」とのたまい、あかんかも。誰も気付かなかったかもしれんが、これは最後まで付きまとう。悲劇だ。金銭的には。音楽的にはブラヴォー。切っては切れないチャーム・ポイントですから。
♪
ゴルフ・コースに立ってます
P.V.Cに身を包み
偶然にもゴルフ・ガールとお知り合いになることに
お茶を一杯売ってました
「お一ついかがですか?」と彼女は言い
おあいそ笑いも一緒
「3ペンスでお飲みになれます。緑がとっても綺麗だし。」
そう、もちろん私は飲みました。
じっさい3杯も
で、ゴルフ・ガールを見つめれば
そりゃもうとってもかわいい
そのあと、ゴルフコースに行きました
お茶を飲んだ後
それは雨に濡れたゴルフ・ボールで始まり
そして彼女は私に傘をさしてくれた
彼女の名前はパット
二人で木の下に座り
彼女は私にキスしてくれた
♪
期待通りの呑気さで。嬉しくなります。問題箇所と言えば
「二人で木の下に座り
彼女は私にキスしてくれた」
って早ぇよ(^0^)。
まあ、ぶちゅうとしたんじゃなくて流れから言えば、ちゅっとほっぺに。
思わぬことに「わーー。」なのでOK。
2曲目は一つ置いて3.の
「Love to Love You (And Tonight Pigs Will Fly)」
恋することに恋をして(で、今夜ブタさんは飛ぶでしょう)
って何なんだのタイトル。カウベル・フューチャーの名曲だ。
忘れないようにでかい字で書いておこう。
カウベル・フューチャーの名曲だ。
プログレでカウベルを使っていいのか?とゆう大疑問は置いといて。まあ、別にプログレだプログレだとキャラヴァンやってた訳ではねえからそれで避難するは筋違いでおお足が痛いだな。ともかくその辺に置いてあるカウベルもしくは木魚にて演奏に参加しましょう。キャッチー・ポップの不可欠要素、サビ部分がタイトルで一発で覚えられる・・があります。
入手先参考(日本盤、アマゾン)
外盤(試聴可能)
シンクレア卿の詩が聴けるもう一つのバンドはキャメル。
誰でも知ってるラクダさんジャケのバンド。数有る参加アルバムの中でも名作「ブレスレス」に極め付きの2曲有り。
まずは1曲目
1.ブレスレス
頭なでなでされてますようなイントロに始まって、優しいシンクレア父さんの歌。いつもより多めに優しい。これもどうしてシングル・ヒット(せめて英国で)しなかったのが不思議で。まあカットしなかったのならしゃあないけど。入ったとたん部屋の空気がオレンジに変わるこの言ってみりゃ強烈さ。えらいこっちゃ。
次は4曲目
「Down on the Farm」
リトルフィートにも同名曲有り。もちろん全然違う。えらい派手なイントロでどうなるんだと思ったら、歌が始まったらもうシンクレア・ワールド。ここでは言葉コロコロの快感を味わって下さい。まあ、耳が気持ちいいこと。間奏でもイントロの派手部分が再び、ディストーション・ギターの弦を「ぎゅおーー」って擦ったりして。で、直後にブタさんの鳴き声が入って、この声。訳わかりません。どうして派手を入れたんだろう。あまりに呑気なので恥ずかしくなったのかな。しかして、こうなりゃ無ければこの曲はなりたたなくなってますので吉です。
入手先参考(日本盤、同)
外盤
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おまけ
おまけって言ったら悪いな。そのキャメルのルバング島小野田少尉の帰還をテーマにしたアルバム「ヌード」の初っ端曲
「シティ・ライフ」。
これは歌ってるのは多分、ギターのアンディ・ラティマー氏(違ったらごめん)。しかしこれがまたシンクレア卿してて。影響そりゃもう大だったのだなと。曲は、AORって言ってもよか。スーパートランプの味わい。実際アレンジのそこかしこに。またも言うぞ。何でだろう?ヒットしないってのは。81年だからか。とにかくこの曲の良さはポップ好きなら直撃必須であります。
入手先参考(同)
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シンクレア歌世界。一番何が素敵かって、全く飽きないこと。この5曲はやたらめったら好きなんで何回も何回もなんかいもーー聴いてるんだけどへたることないもんな。何でだろう。そこがプログレ・ポップの所以かもしれぬ。音楽って野心とか狙いとかあるのも楽しいけど、仙人みたいな境地にあるもの、かと言ってこんなんでいいや、この中でウケればいいやってなもんでも無い、自然体、剣道で言えば理想の正眼の構えみたいなのはいつ見ても美しい。
シングルで無い完璧なシングル達です。
第2弾に続く(いずれ)
2006年02月01日
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気に入られたら是非ご入道を。