NPO法人ウルトラ警備団
第6回:怪獣出現(1)
「何だろう。楽しみだなあ。」
「今、開けますからねえ。」
ガラガラガラ〜
「出入り口が手動のシャッターってのが情けないな。」
「しょうがないじゃないですか、余計なとこに予算はかけられない・・・って、
じゃじゃじゃじゃーーん
新生ベータ号!
ここに誕生。」
「おお、ベータ号・・・・」
「どこがこれ新生なんだ。前と変わらんみたいだけど。」
「それはですね・・・」
「とゆうより、ガンマとアルファ号は、どうしたんですか?」
「リサイクル。」
「え?!」
「昨日も話しただろ。復興資金の予算に接収されちゃったって。
で、解体されてボデーは鉄に、電子部品は、どーせケータイか何かになったんだろ。」
「そんな馬鹿な。じゃ2号や3号は?・・・ポインターは?」
「2号や3号も同様さ。ポインターは、減価償却切れで値が付かなかったのでここでまだ車検取り続けて使ってるよ。
あ、そうだ。どうせ訊くだろうから前もって答えておくと、
ベータ号だけ残ったのは・・・・」
「第一に図体が小さいから。
第二に、もしものもしもの万が一の万がもう一の時用に、タケナカ・マンジョウメ参謀、
いや大臣が残すよう進言してくれたから
でしょ。」
「そうゆうこと。」
「では、ご説明いたします。この新生ベータ号、どこが新しいかと申しますとーーー」
じりりりりん
「あ、電話。」
「はい、こちらウルトラ警備団。はい。はい。えっ?はい、今、団長に代わります。」
「はい。何?わかりました。それで。はい。わかりました。どうかよろしく。早急に。」
「何か有ったんですか?」
「東京B地区に巨大むにゅむにゅが出現した。長さ30mと言うことだ。
いつでも出撃出来るよう、ほら、フルハシ。まだユニフォームに着替えて無い者は早く着替えるように。」
「いっけねえ。今、着替えますから。あ、ほらダン。お前のも有るからこっちへ来い。」
「あ、はい。」
・・・・・・・・
ガサガサ
「ほら、これがお前のユニフォームだ。」
「わあ、懐かしいなあ。昔と同じデザインじゃ無いですか。」
「まあな。同じデザインじゃ無くて同じだよ。予算が無くてそのまま。
参っちゃうよ。こちとら歳取って腹がいささか出てるっつうのに・・・
ええい、コノヤロ、服に体を合わせなきゃいかんつうのも・・・って、お前、スッと着れたな。」
「はい。むしろ痩せたんでダブダブです。カッコ悪いなあ。」
「あはは。我慢しろ我慢我慢。」
「あ、ちょっと質問なんですが、むにゅむにゅって一体何ですか?」
「えーと、何とゆうか怪獣とゆうかそんな大げさなもんじゃなくて、生き物だな。
地球に侵入した宇宙人が嫌がらせのために時々作って出してきやがるやつだ。」
「凶暴なんですか?」
「うーん。凶暴とゆうより迷惑なヤツで。ハッキリ書くとお食事中の人に迷惑だから、この小説ではここで一回だけ書いとく。
うんこだ。」
「え?何ですって。」
「危な。2回言わなくて良かったなあ。そう排泄物にそっくりなの。それが生きてるから困る。
動いて移動して・・・そうなるとどうなるか、お前も想像つくだろう。」
「そりゃえらい迷惑ですね。・・・・
って、まさかその退治が今の我々の任務ですか?」
「ピンポーン。」
「げ。
ま、それでも怪獣は怪獣。早く緊急出動しなくていいんですか?」
「それが出来ないから困ってるんだ。ほれ、前回の時、やたら出動してバリバリ怪獣に攻撃しただろう。
その時、当然、怪獣だけじゃ無くて、周囲の建物とか誤爆でぶっ壊しちゃって。
その時はそれで良かったんだが、平和になったら、一体どーするんだって賠償問題が出ちゃってな。
それで今は、防衛庁で出現地帯の住民の同意を取るか、防衛閣議で緊急出動の決定を得るか、
どちらにせよ、お上からOKが出ないとここから一歩でも出ちゃいけないって体たらくだ。」
「そうなんですか。それは・・・。でももう出てるかもしれない。急ぎましょう。」
「大丈夫だって・・・。そんな早く出るもんじゃ無いから・・って行きやがった。はいはい。」
・・・・・・・・
「隊長、準備出来ました。出動命令は出ましたか?」
「出ましたかって・・プっ、何その格好。服ダブダブ。」
「笑うなよ、アンヌ。」
「あははは。そうだ笑うな。気の毒だぞ。」
「えーー。当然ながらまだ命令は出てません。
ので、
その間にこの新ベータ号の説明を続けさせていただきますと・・・
まず
駆動エンジンはチョロまかした反物質装置を利用して作られております。
これでもうエネルギーを供給することなく半永久的に動きますので、やれガソリンの予算が無いとかそうゆう文句とは
おさらばー。
そして攻撃装置ももちろんそれを利用して動きます。
まず
プラズマ光線。
こいつは最終兵器でして、使ったら最後、たいていのモノはバンラバラ。使用許可が必要となります。
そして
冷凍光線。これをウけたモノは絶対零度に冷却されちまうつうスグレもの。
これもヘタすると攻撃後触るとバラバラになってしまうので、これまた使用許可が必要となります。
そして最後に、
高周波光線。
電子レンジの要領で物体の水分を蒸発させてカラカラにさせてしまいます。
これは干乾びるだけですんで、バラバラにはなりません。出動命令が出たら使えます。
なお、
万が一、反物質装置が故障した際は・・・これがミソね。
胴体羽全部に貼られておりますのがああああ、
太陽電池!!
従来の1万倍のパワーが得られるのですぞ。私とビショップの血と汗と涙の結晶!」
「ワタシはそれ出ません。」
「あ、そうだった。私の血と汗と涙の結晶。これはですね、各電機メーカーに売り込んでですね。
活動予算の足しにすれば・・・こんなオンボロ基地とはおさらばー。」
「そりゃいいや。はやくしろ。こんなとこにいないで、早く売り込みに行け。」
「おいおい。今は命令待機中だぞ。」
「どうせ、早く駆除して欲しいから、住民が大げさに通報したんでしょ。こないだも有ったじゃないですか。」
じりりりーん
「はい。ウルトラ警備団です。隊長。」
「はい。出動命令が出た。巨大むにゅむにゅの出現は間違いない。はい。すぐ発進します。」
「え、マジかよ。てことは巨大xんこ。参ったなあ。」
「みんな、出動だ。
このベータ号の初出撃となる。みんな気合入れるように。」
はいっ
つづく。
2009年09月01日
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