2006年05月01日
Trilogy / Yngwie J. Malmsteen 1986
Trilogy
Yngwie J. Malmsteen
1986
*すっかりハード&メタルづいてる昨今。俺が悪いんじゃ無いよ。レコ屋さん行きますと盤が待ってるんです。何しろ今まで本気で興味を持って見てなかったもんで、棚に行くとブツが一杯。しかも安い。あんたら何でこんなに安いんだ。この盤にしてもアマゾンの中古では。うわ。
ついに我が家に来てしまいました。噂の
イングウエイ・マルムスティーン君。
愛を込めてマルムシ君と呼ばせて貰おう。
何を知ってるって「速い」ってことしか知らんかったので、ライジング・フォースと2枚発見したのですけど、ジャケを見て「なるほどキングギドラとギターで対決するなら速くなきゃ戦えないわな。」と納得し、こちらをチョイス。裏ジャケがまたいいっす。
「お父ちゃんしっかり稼いできてね。子ギドラがお腹を空かせてるの。」と送り出す母ギドラ。「おう、行ってくるぜ、任しとき。」と出掛けたがいいが、何だか足が長いか短いかわからんやつのギタアと戦うハメになるとは。とほほ。の巻。この人凄くわかってるわ(何をだ)、期待一杯で聴いたぞ。うひょー楽しいではないか。
もっともわたしゃ速いギタリストには憎悪を抱いて育ってしまいました。音楽を志してギターつう楽器を選択したものの、練習ってもんが嫌いなもんで、オマケに元々手が不自由不器用な天賦の才を親から貰ったんだなこれが。だもんで俺の師匠はロビー・ロバートソン王とポール・コゾフ姫と開き直る。師匠たちは世界一トレモロが速くてビブラートが速いんだぞ。凄いだろ。
しかし、速くてキチンとしてて速いの聴いて気持ちいいには間違いなし。もちろん音楽は違うし、勝負なんてえもんじゃねえけど。
理屈抜き、速いのはすげえと感嘆、爽快だ。
古今東西、速いギタリストと申しますとまず思い浮かべますのが
アルヴィン・リーさん。
歯を食いしばって、バリバリバリと・・の姿思い浮かべます。デジタル・ディストーションなんてもんは無かった時代だからもー、しっかり指板押さえないと音が出ないよの歯を食いしばり。
そして
アル・ディメオラさん
ジョン・マクローリンいやマクラフリンさん。枕不倫さんじゃないよ。
もちろん
リッチー・ブラックモアさんも。
「あなた、またろっくすで私のこと言ってるわよ。」
「え、お前じゃ無くて俺のことのような・・」
「今、何て言った?」
「いや、お前のことだよ。ビューチフルだもんなあほんとに。」
「わかってればよろしい。で、何の話してるのかしら。このレコードね。えーとあなた知ってる。」
「え?俺は読めない漢字のレコは聴かないことにしてるの。えーと何て読むんだこの漢字。いんぐうい・まるまるまる。ええいくそ。」
「あーあ、割っちゃったわ。」
考えると何故人は速く弾くのか。ことは音楽だけに疑問がふつふつと湧いてくるよ。一歩ゆづって速く弾く必要が有るとして、どこまで速く弾けるのか。考える。
えーとまず2ビートの速さ。づんたんづんたん。これはまー、紫の煙のイントロのとこぐらいしかやらないな。最初にギターを触ったよしても出来ます。これを売り物にしてるのはレスリー・ウエストちゃんしかいない(じょーだんだよー)
次に4ビートだな。がんがんがんがん。てか。これもレスリーちゃんしか。
で、8ビート。づづががづづがが。ブギのリフです。これが出来れば、極めれば天下のサイド・ギタリストになれる。
ソロを取らせて貰うには12ビートは会得せねば。テロルてろるテロルテロル。って3連系です。ちゃんと右手で出来なくてもハンマリングオン、プリングオフで出来ればOK。
16ビートとなりますと。タリルレ、コラルれ、ぽらるれ。ってやつ。レーナード・スキナードのフリーバードに様々な図鑑が載ってますんで参照のこと。リズムが出来れば立派なファンキー・バック・ギタリストに。ソロが出来れば、町内ですげーって言われます。
さて問題は次の段階だべ。
3連系で一歩進んで24ビート。テロルタロル、てろるたろる、とろりぱろり、からりくろり。と瞬発で出来てもえらいこっちゃ。長い時間となるとヒーロー。
その先、32ビート。とろりれぱらりれ、とろりれぱらりれ、とろりれぱらりれ、とろりれぱらりれ。ってか。
この段階になると左手小指が使えんと話にならぬ。
私の左手には小指がいなひ。
ドラマーでもフランキー堺氏にしかこれは叩けぬ。
48、64ビートとなると、もう人の耳では判別出来んのではないか。蚊の羽音みたいだったりして。犬が騒ぐ。
てこたあ、いくら気張っても24と32ビートの世界の戦いになる。
そこから先は曲のテンポを速くしての微妙な勝負に。
マルムシさん、その辺は熟知しておる様子です。
1曲目「お前は覚えて無いだろうが、俺はけっして忘れない」って、えろう可哀そうなタイトルの曲。でっかいノリでとうとうと歌います歌い上げ北欧メロディちょい遅めで迫り、ソロになると、グギョー、ドバドバドバドバア、へろふりょくろりん。もしくは2曲目「嘘つきー」。づんたづんたのウエスタン2ビート高速ビートで、余裕ですビロビロビロビロ。
4曲目の「泣きます」ではアコ・ギターで、アコだと別ですからそんなに気張りません
の3種類で極める。
ギター芸人の道を全力疾走だぜ。嘘じゃないよ。このライブ風景をご覧下さい。まー大変。歌のバックではギターくるくる廻したり、引っくり返したり忙しいこと、ソロになるとギターに光当たってます。気の毒なのはベースさんで、自分だけのんびりしてる訳いかんと楽器タテにして左右に振る謎のアクション。
いや大変だ、この世界でメシを喰うのは。
とにかくギターが好きで練習に練習を重ねちゃったら、いつのまにか無声映画早回しみたいにギャグに近づいちゃいましたトホホ。てのをご自分でも自覚してらっしゃるらしく。もう遅くは弾けないんです。我慢してもこの手が手がああって悲哀も込みで。
この男なら身を任して「おおお」と歓声送り「やれやれー」ってエール贈りたい。
誰が始めたって、エドワード・ヴァン・ヘイレンさん、あんたが悪い。
で、
ライバルは”ザ・スタント・ギター”スティーブ・ヴァイちゃんかな。
ヴァイちゃんの師匠、ザッパ大神宮は64ビートを持ち込んだ一番悪い人かもしれません。
(山)2006.5.1
でかいジャケットのページ
入手先参考(日本盤、アマゾン)
試聴はこちらで(US盤、同)
The English translation page : here.
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック