2011年04月04日
街はステキなカーニバル/岡林信康 1979
街はステキなカーニバル
岡林信康
1979
人にものを聞いてもらうのは難しいもんで、聞いてくれる気が無きゃ聞いてくれません。
そりゃもう熱弁すればするほど空回り、
聞いてないのか!と机を叩けば帰っちゃう。
上司とか先生とか取引先だったら他のこと考えながらのいるこいるして
聞いてるふりしやすけど結局聞いてないわけで。
ましてや友人ですらない赤の他人の言うことなど、
もし聞いてもらえるとしたらこれは凄いことです。
ブログの文を読んでもらえることもすごいことだし、
自分で作った音楽を聴いてもらえることなどはるかに奇跡的。
もしそうしてもらえるならこんなありがたいことはないです。
そりゃたとえ神様でも例外でなく、
あんだって?わしゃカミサマじゃよ。
などとすっとぼけてたら、帰る。
フォークの神様でも当然そうです。
フォークの神様ってのがエライと思われているうちは熱心に拝聴してくださるかた数多なれど、
いつのしかフォークださいの認識が一般化したあかつきには、ただの昔の有名人だ。
また無名の頃のように聴いてもらうのに一苦労に戻る。
いや、名前があるだけに、先入観があるだけに真っ更な気持ちで聴いてもらうことなお難しかもしれません。
街はステキなカーニバル
1979年発。
フォークどころかロックだってパンク解体の危機にあった時の、
元フォークの神様
岡林信康氏のアルバムです。
歌謡曲ですら何だかなあの機運があったころ、
何があったかと言えば、あの吐き気&唾棄を進呈したい”ニュー・ミュージック”なのだ。
ちょっと前までは国民全部貧乏水呑み百姓だったくせに、ちょいと羽振りが良くなったからって、
急にお洒落だあ、なんだーかんだーと一皮剥けば虚飾騒然たる浮ついたもの。
たんまり国民からうまいこと言ってだまくらかして小金を巻きあげて懐たんまりの役人さん、
シャッチョーさんとか、および御曹司だったら心地良いかもしれぬがの。
なので岡林さんもニューミュージックみたいにしてるみたい。
な
ジャケ。ちょいお洒落みたい。
だけどよく見ると何か妙。高そうなギタア抱えてオレンジのアンプの影にこっそり隠れてるじゃないか。
えーと上のスキャンした画像は暗いのでこっちのほうがよく見えるかも。
隠れてますか。そりゃもうやましいんだろう。ちょいと前まで逃げて農村生活&演歌なさっていたんだから。
以前から知っててファンだった人は、何これ?
以前から名前は知ってて、以降は死んだんじゃないとかとんでもないこと思ってた人はまだいたの?で終わり。
まるで知らなくてジャケだけ見た人は、タイトルと相まってちょっとイカしてるんじゃないと
間違って買うかもしれない。
そんな思惑錯綜しながら開幕です。
A面
1. Good-bye My Darling
いきなし横文字タイトルから始まりの、流麗なスライドギター鳴りの、
ちょっとジョージ・ハリソンさんみたいなのかな。
声を時々裏返して気持よさそうに歌います、善人声で。
2. モノクローム・シティ
完全に歌謡曲調ロック。これがニューミュージックと言えば言えないことも無い。
ベイビとか歌ってるし。フォークの神様、ベイビー、アイラブ・ユー。
時に声を裏返して気持よさそうに唄う。すごい真剣に。
ジュリーになりたかった。
3. 摩天楼
ちょっとハードな、あくまでちょっとだけヘヴィな、気障な歌謡ロック。
オシャレな街のアイテムを様々並べた歌詞。
その上でケダモノみたいに欲望丸出しを描いた大人のソングを、いいも悪いも。
お前はそんな人間なんだと思われるは必須。
実際そうなのかもしれない。
4. 遠い朝
http://www.youtube.com/watch?v=YKDQ7EEZz5o
突如。突如です。
フォークの神様降臨。まるでさとう宗なんとかさんみたいに。声が似てるかも。
これがいい歌で、さっきまで何だこの糞親父と思っていても、打たれちゃうのだ。
この方、人の心を打つ歌を書く才能があります。
宿命のように。
5. 君に捧げるラブ・ソング
http://www.youtube.com/watch?v=UU9ZnQ4GGIA
続いて神様、まさに後光を差して降臨。
さっきまで糞親父だったのに。とんでも無い歌です。
人の心のなかにずかずか地下足袋で踏み込んでくる教会進行の大名曲で、
偽善だ、嘘偽りの善行だと指さすことは不可能。
何故なら
馬鹿みたいに正直で、馬鹿みたいにバカヤロウだから。
B面
1. 街はステキなカーニバル
それで憑き物が取れたみたいに、くだらないロック歌謡を為されますわ。
いったんさっき打たれてますから、これは露悪も入った照れ隠しに聞こえる。
それでいい歌。
ピンクレディーがマジで好きだったとか聞いたことがある。
そりゃジミー・ペイジだってうっかり好きになるかもしれないじゃないか。
わざわざやらないだけで。
2. 血まみれ
一見穏やかなミドルテンポロックチューン。
収まっていた穏やかが、ここらで正体を表し、やっちまってる。
おまけに生来の情け無さまでトロしちゃってるもんだから、
お洒落を求めてデート中のカーステレオで聞いてたカップルは凍るです。
聞いちゃいないか。それはそれで幸せでけっこう。
3. ロックン・ロールしてるかい!?
ロックンロール史上もっともしょうもないタイトルと言えます。
そのロックンロールのもっともしょうもない部分をロックンロールで歌います。
別に元フォークの神様の恨み節ってわけじゃねえとは思うけど、
そうかな。
やってるうちに、この偽善野郎、いやロックだから偽悪野郎!
本気になってきました。悪意で。
4. 山辺に向いて
http://www.youtube.com/watch?v=ynDNuGMTDgQ
そして突如、突如、降臨。
思い切りまともなことを唄うフォークのおいちゃん。
まともなことくらい昨今歌いにくいことはなく、
それは嘘をついてまともなふりをしてやってる人間の言葉と、
字面は同じだからだ。
真摯な姿勢、心を込めてまで、ヘボ演技だとしても
見た目は同じ。
しかして
その中身は天と地ほども違い。
あまりにも、あまりにも、あまりにも違い過ぎるので、
すっかり感動した直後、
騙されたことに気付いてすっかり落胆して途方にくれ、
人を信じられなくなり、孤独で辛くてたまらん羽目に。
昨今の大問題といえばそれ。
誰がその口のその裏で、こっそり舌を出しているんだ?
だが
おいちゃん。
このおっさんは
汚れを、誰でも持ってないはずは無い汚れを、
既に晒して、
別にやらなくても誰も文句は言うまいに
そこまでしてくれて
その上での
言葉は、信ずるに足るものだ。
そうで無ければそれこそ・・・。
騙すにしても、
めんどくさそうにテキトーに騙すんじゃなく
本気で騙してくれ。
その惜しみなき手間ってのは、相手のことを本当に思ってることなのではないかと
思います。
↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
(山)2011.4.4
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
街はステキなカーニバル(紙ジャケット仕様)
ろっくす特製でかい画像ページ也。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ろっくす岡林氏のページ
資料
English Version
.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
当ブログ記事への、
楽天キャッシュ
https://point.rakuten.co.jp/Top/TopDisplayCash/
または
Amazonギフト券(Eメールタイプ)
での、
おひねりをば頂ければこれ幸いです。
宛先メルアドは
rocksp@jcom.home.ne.jp
にて。
↓下記バナー内上左より
金額はお心次第、いかほどでも。
いただいたおこころざしは、歓びこの上なく、遠慮無く使わさせていただき、
勇気百倍、毒千倍、
また一日暴れさせていただきます。
よろしくお願い申し上げ奉ります。
日刊ろっくす ヤマ & まほ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ネットショップやっております
まほさん手作りエコトートバッグ発売中。
♪取り扱い品目はコチラで♪
.
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック