2006年11月17日

Martian Time-Slip / Philip Kindred Dick 1964

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Martian Time-Slip
Philip Kindred Dick
1964


ロックとSFと昭和プロレスとラーメンは同義語です。
今週の金曜は「週刊SFマガジン」、あ、もう有った。
じゃ「週刊ロックマガジン」あ、これも有る。
じゃ「週刊SFロックマガジン」これは無いでしょう。
第1回の特集はフィリップKディック氏の
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火星のタイムスリップ
原題Martian Time-Slip

そのまま新人バンドの名前に採用可。つうかモノクロームセットの歌にありそ。実際80%のやつは有りで。
ディックさん、あの映画「ブレードランナー」、「トータル・リコール」の原作を書いた方です。映画ではハリソン・フォード氏、シュワちゃんと二枚目&ヒーローが主人公だけんど、それはそれでナイスでしたんけど、原作はとゆうとそれはもう情けない人が主役です。
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↑酷似
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それがディック師の小説。

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ロックに暗黒種暗黒族の方々がおります。
突如突然変異の如く現れたドアーズが開けた扉によせばいいのに入っていった連中。
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ドアーズが開けてしばらくはその先の闇の濃さに誰も突入せんかった。敢然と飛び込んだのがジョイ・ディヴィジョン。
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益々闇を濃くしちゃったよ。
ディック師匠の「火星の生活」うんにゃ「火星のタイムスリップ」は扉前1964年に文字のビートでそれを著しました。
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主人公は火星に入植した機械修理職人。弱点だらけ、そして平凡。何とか結婚して子供もあるお父さん。
そんな彼がふとしたきっかけで主人公にさせられるつう。己の弱さをどんどんほじくり出して抜けられなくなる。
地球にて大きな挫折経験有り。若き頃精神分裂病を病んでしまった。
でっかいキー・パーソンで自閉症の子供が登場。自閉症は本人の時間間隔が通常人とは異なり違う世界を見ているとゆう設定が現実となってそれでお話が爆発す。火星には火星人がおり、マイノリティ現地人としてこれまた重要、大活躍。人類とは別に「火星人がいた!」って初めはびっくり大騒ぎも、時が過ぎればみんな慣れて当たり前のことに。尊敬どころか弱者は弱者、人扱いしなくなる。だって人じゃないから。
遠き未来と現在の時間が当然のように同居してます。未来はいびつ、ある面では突出して進化するけど結局は変わらないって。

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それがディック師の小説です。


21世紀の今、それがとことん本当だと染みて来る次第。
考えられる全ての悪い状況が始まると同時に展開されます。悪夢のように。現実でも誰だって嫌な目には会いたくない、見たくない。
でも否応無しに周囲によってもたらせられること有り。自分で引き込んでしまうことも。
そんな時どうしたらいいか。
目をそらせて逃げるか。それが出来ればいいけどどうしても出来ない時はどうするか。己を破壊するか、自らその闇に突入するしかありません。
闇に突入することを主人公は選び、話中、もがいて苦しんで何とか脱出しようと試みる。読んでる方も同時体験す。
これまた何もそんなもの読んでそんな経験すること無いんだけど(^0^)、読み始めちゃったものはしゃあない。何とかしてくれとどんどん惹き込まれて行きます。何より作者が書きながらそう思ってるに違い無し。

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それで最後は解決するんかいな?

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それはもう勇気を出して読んでいただくしか。このラストは極めて明快ながら、入った人それぞれみんな違う思いを持つと思います。
中には出られない方も。
そうなったら次のディック氏の作を呼んで下さい。

ストーリー中、次の言葉が。火星人が申した言葉です。
「生命の目的はわからない。だから、そこへいく道は、生き物の目からかくされている。きちがいが正しくないと誰が言えますか!
ミスタ、彼らは勇気のある旅をしている。生活の役にたつようなものはかえりみない。彼らは心の内部に入っていきます。そこには底無しの暗闇がある。まっくらな穴がある。いったんそこに入ったら、はいだせないかもしれない。はいだせたとしても、真実を覗いた彼らはどうなりますか?私は彼らを尊敬します。」

この箇所を読んで、私は、あ、これはテレヴィジョンの”マーキームーン”だと思いました。
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(山)2006.11.17

ろっくすSFロックのページ

でかいジャケットのページ

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入手先参考(日本文庫紙、アマゾン)

試聴はこちらで


Kな動画

Blade Runner DC Trailer
http://www.youtube.com/watch?v=Xx9_Xb5w8XU


Total Recall Clip
http://www.youtube.com/watch?v=bbsmgwuUVpI

Parliament Funkadelic - Undisco Kidd 1977
http://www.youtube.com/watch?v=GxcNlA4UEcI

The Doors - Break On Through
http://www.youtube.com/watch?v=tah0OnS3nBU

Joy Division - Shadowplay
http://www.youtube.com/watch?v=AGKh1_qvYVo




The English translation page : here.
posted by 山 at 08:55| Comment(0) | TrackBack(0) | sf pop | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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