
シングル・マン
RCサクセション
1974
縁は異なもの乙なもの。
トラウマ破って聴く気になったのなら聴かせてやろうぞとレコ屋さんの棚の中から現れました
RCサクセション、1974年録音76年発売
シングル・マン
このジャケットを見た時、こりゃいったい何だ?
ちょっと目では誰のレコかもわからずタイトルも無い。でもこのジャケで悪いわきゃあねえと貧乏人ならではの鼻で嗅ぎつけ、細い背中を見たら書いて有ったよシングルマン。も、もしやあっしはとんでもねえものを入手してしまったのではとビビる大木。
三顧の礼を持って聴く。何度も何度も聴く。
我が家の夕方がったがった6時からはシングル・マン。
今頃になって聴きやがってそんなこと言えた義理か分際かと申されても、言わずにはおられませぬ。
このレコードは稀代の名盤です。何か悪口言われたら「何をう」って胸ぐら掴んでしまいそう。この温厚パンク&柔なあっしでも。
RCの3枚目のLP、
ひじょうに悲しい運命の盤だとききました。事務所移籍の際のトラブルで、74年に秘密裏に録音されたと。
されたとはいいけど、誰がいったい予算を出したのだろうか。演奏、音質、全てがれっきとした正規盤。およそ音楽好きで、関わることが出来たものは応援せざるを得なかったっであろうてのは聴けばわかるが。
その代わり、ジャケはご覧の通りこっそりモード満点。ミュージシャンクレジットも無し。スタッフのお名前、曲目がひっそり中に入ってるジャケ同サイズの紙の隅っこに。
最初、ジャケットは何かの絵本からかなと思いましたが、それにしては何か妙、その紙に記載あり。「幼児児童絵画統覚検査図版」よりと。
それはいったい何を検査するのだろうか?思うだに恐ろしい。
そしてその紙の表は、メンバーがジャケと同じ図柄で写ってる。聴けばまさしくこんな感じで福生で皆で暮らしてたとのこと。
左、寝込んでいる猫の方は、ギターのケンチさん?精神的に辛い状況になりギターが弾けなくなっていたと。

針を落とせば
ファンからの贈り物
仰天のファンキー・サウンドが出てまいる。ラッパがうっぱうっぱ。来日中のタワー・オブ・パワーが何と参加したとゆう。その音を聴けばわかる。まさしくTOP。清志郎さんは、どうも気に入らなかったらしいけど、そりゃ贅沢とゆうものです。全盛期TOPでっせ。しかも諸事情でクレジット無しになる運命を知らないはずもなく・・・それでもこの渾身のプレイ。オシゴトではけっして有りません。喰い付かせずにはいられなかった模様。
アレンジはRCとモップスの星勝氏。感嘆して100m10秒2で走っちゃったよ。

大きな春子ちゃん
は、レゲエです。74年の日本で独自レゲエ。ぱこーんぱこーんと鳴るアコベ。ジャイアント馬場さんも登場。
この曲から強烈な何か既視感に襲われる。その空気はいったい・・・
やさしさ
その何かがここで判明。かなり悶えたあとすが。ミソはピアノのフレーズで。ラッパの鳴りで。ピアノはミッキー吉野さんが弾いてるのでしょうか?
これはスティーリー・ダンだ。AJAのピアノにそっくり。AJAは77年では無いか。音予言か。狂いそうです。
ぼくはぼくの為に
ロック以外の何物でもない曲。やっぱ清志郎さん、ブライアン・フェリー氏と同じものを見て同じ苦しみとか持ってたんじゃないかと。勝手に実感。
レコーディング・マン
それはこうしてしまうパンク衝動。
夜の散歩をしないかね
やたらと西洋の人に例えてしまうのは、まことに申し訳ねえっす。洋楽人なのだもんでどうかご勘弁。
このジャズ曲は、イアン・デューリーおじさんの顔が。どわーっと。類が友を呼んで朱が赤く染まった。
B面です。
ヒッピーに捧ぐ
例えますととか書いていられるのはここまでで、ここからはもう。世話になったホリプロの時のマネージャーさんがいきなり亡くなってしまって、作った歌と聞くと・・・。天まで届けの思いがでかい風船になってるよ。
冷たくした訳は
ザ・バンドだ。いかん、また。すまんです。ザ・バンドの好きさはそれはもう・・それはもうなもので。ビッグ・ピンクと同じ空気をそれ以外で吸ったことは、ついぞありませぬ。が、吸えた。喜び。
途中のストリングスにまたも何か同じ風景を見たのですが、思い出せないす。
冷たくした訳は
疾走するガッタガッタ。TOPが喝をぶち込む。ぶち込まれるわしら。
甲州街道はもう秋なのさ
大バラード。♪うそばっかり、うそーばっかり、うそ、うそ、うそばっかりー♪の叫びはうちの部屋の壁に刻み込まれました。
拭く気も無いし、拭いても消せません。
スローバラード

大バラード。”男が女を愛する時”から”僕のベイビーに何か”から”グッド・ナイト・ベイビー”まで一直線につながる国道でカーラジオから流れてきたスローバラードは、ソウルです。思いの丈。
この歌に呼ばれりゃあ、このラッパも来るよなあ。
我が家に来たシングルマンのLP、きわきわにゆがんで、ヤバい状態。
消えてしまいそうで、怖く、寂しく。
このものはこれだけだなと思ってしまう。
ものに魂宿ることって。
(山)2007.4.11
ろっくすRCのページ
でかいジャケットのページ
RC資料
入手先参考、アマゾン
孤独な男動画
RC succession 1976.12.01 Slow Ballad
http://www.youtube.com/watch?v=zQMFltAEq_8
ファンからの贈りもの RCサクセション
http://www.youtube.com/watch?v=86C0TqW9_rs
大きな春子ちゃん RCサクセション
http://www.youtube.com/watch?v=_X-WI84yNBg
冷たくした訳は RCサクセション
http://www.youtube.com/watch?v=9yvzyNOvWaM
RC succession live 1976 "Maboroshi"
http://www.youtube.com/watch?v=wgiiwrDHr94
The English translation page : here.
これRCの作品群の中であの「Rhapsody」と同列に並ぶくらい(ライブ盤とスタジオ録音盤を並列すること自体無理がありますが)、私の中では影響力の大きい作品ですね。
おそらく、洋楽、それも60年代〜70年代を全く聴くことなくして、この作品を聴いたらそこまで思えないかもしれませんが、
『音楽≒洋楽≒メロディ(リフ)』だった10代後半の時期に、日本語でストレートに洋楽テイストばりばりで、訴えてこられたらこりゃダメでしたね〜。
特に清志郎氏の歌詞に関する感性がこのアルバムでは、日本の他のアーティストとは一線を画すものがあって、例えば”スロー・バラード”の
『ぼくら夢を見たのさ とってもよく似た夢を』
という部分ですが、
これ
『ぼくら夢を見たのさ 同じ夢を』としたいところを、”よく似た夢を”と表現したところに、今でもズシンとくる感じがします。チョット違う言葉なのに、ものすごく深い歌詞というか、哀しさを感じさせる日本語だと思います。
一緒に歌うしかないすねもう。
うそうそうそうそうそばっかりいい♪。