2015年04月12日

やさしく歌って / ロバータ・フラック 1973/1/21 KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG - Roberta Flack



やさしく歌って
ロバータ・フラック
1973/1/21


世紀のキラー・ソング、ここに誕生す。

時は1960年代中盤、
「イパネマの娘」で高名なる根っからのブルックリン男で作詞家ノーマン・ギンベル師、カリフォルニアを来訪す。
そこでかの「スパイ大作戦」で超高名なるアルゼンチン人映画音楽家ラロ・シフリン師に紹介され
共にブロードウェイ・ミュージカル用の歌を書き始めの
シフリン師にネタの一つとしてアルゼンチンの小説、フリオ・コルタサル氏作「石蹴り遊び〜Hopscotch」を読み聞かせられ
特にミュージカル用に書かれたものでは無かったものの第2章において
主人公がバーの椅子に座って、アメリカ人のピアニストに向かって
「kill us softly with some blues」
なんかブルースで俺たちをじわっとカマシてくれ
と言った箇所にピンと来たギンベルさん、何かにこりゃ使えると

「ブルース」ってとこを「ソング」に入れ替えること

と注釈付きで自分のメモ帳に書き留める。

一方、LA出身の女性SSWのロリ・リーバーマンさん。
ある日、たまたま聞いたはあのドン・マクリーン兄さんのキラー・アルバム”アメリカン・パイ”に収録の

Empty Chairs

https://youtu.be/jtrIc8vq7wU


雷に打たれたか如く感動し、歌の着想を得るもあまりに打ちのめされたためまとめられず
相談したはかのノーマン・ギンベル師。
師は待てよ、そうゆうことなら確か・・・メモメモとコロンボのようにポッケのメモ帳を出して

あー、これこれ、これですよこれ

と言ったか言わずか、彼女の気持ちを十二分に汲み取って歌詞を完成、
それを友人のチャールズ・フォックス師に渡して
なんでラロ・シフリン師じゃねえんだよ、ってそりゃそうだが作風違いすぎるだろてんで
フォックス師に委ねて曲が完成。
しかしてギンブル師もフォックス師も肝心のマクリーン兄さんの歌には別に反応したわけじゃ無かったとな。
あくまでもロリさんのアイデアがええじゃんとそれで書いただけだってのがこれまた音楽の摩訶不思議なとこ。

ロリ姉さんは1971年にそれを録音、1972年初頭に発売





https://youtu.be/MGlGJp3IarQ


特に世間は何も反応せず。
唄わないかと盤を送られたヘレン・レディさんてば、タイトルが気に入らないと聞かずにレコード・プレイヤー上で放置。

終わるかと思えた時に出現がかのニュー・ソウルの炉端の女王、
既に



愛は面影の中に
THE FIRST TIME EVER I SAW YOUR FACE


http://youtu.be/0jVMTydhx1Y


全米チャート
1972年3月4日77位初登場、
http://rocksblog.seesaa.net/article/390445637.html
最高位1位。R&Bチャート4位。
英、1回目のヒットで、5月27日38位初登場、最高位14位、2010年11月20日47位まで通算17週。

のスターとなってますロバータ・フラック嬢。
LAからNYへの移動中飛行機の中で、フライト・オーディオ・プログラムに入ってたロリさんのヴァージョンを聴き
まずタイトルにグサッと
メロディをメモ帳に書き留め
10回ほど唄い、
到着後、クインシー・ジョーンズ師の家に駆け込み、
チャールズ・フォックス師にどうやったら会えるか訊き、
2日後、盤を入手、
直後にバンドと共にジャマイカのキングストンのタフ・ゴング・スタジオでリハ、
しかし録音はせず
1972年9月、フラック嬢、LAはグリーク・シアターでのマービン・ゲイ師ライブの前座の席、
用意してあったアンコール用の歌を歌い終わったあと、
ゲイ師にもっと唄ってくれよと言っていただきの
それじゃあとかねて取り組みの”やさしく歌って”てのあるんですと言うたら
「じゃ、やんなよベイビー」と優しいお言葉をいただき
やったら
観衆は大熱狂
ゲイ師、フラック嬢に歩み寄り抱きしめて言うたのです。

「ベイビー、二度とその歌をライブでやるんじゃないよ。君がちゃんとレコーディングするまではね。」

かくして1972年11月17日正式録音。

1973年8月1日発売
ピアノの蓋部分が開きます魅惑の変形ジャケ
5作目アルバム



やさしく歌って
Killing Me Softly


メンツは

Roberta Flack – arranger, piano, vocals
Eric Gale – guitar
Ron Carter – bass
Grady Tate – drums
Ralph MacDonald – congas, percussion, tambourine
Deodato – conductor, string arrangements
William Eaton – brass arrangement
Don Sebesky – conductor, horn arrangements, string arrangements
Kermit Moore – arranger, cello
Alfred Ellis – brass arrangement, conductor
Barry Diament – mastering
Rod Dyer – design
Burt Goldblatt – photography
Bob Liftin – engineer
Gene Paul – engineer
David Redfern – inside photo
Jack Shaw – associate producer
Producer - Joel Dorn

より1回目カット1月21日発売。





全米チャート
1973年1月27日54位初登場、
http://rocksblog.seesaa.net/article/413027295.html
(2/3)34-15-5-(2/24)1-1-1-1-2-(3/31)1-3-9-14-(4/28)20-51-(5/12)56位。
最高位1位5週。通算16週。R&Bチャート2位。

英、2回目のヒットで、
1973年2月17日47位初登場、
以後
(2/24)23-19-8-7-(3/24)6-9-10-19-20-32-(5/5)36-42-(5/19)44位。
最高位6位。通算14週。

オーストリア19位。



ドイツ30位。


↑フランス盤

アイルランド10位。



オランダ3位。


↑イタリア盤

ノルウェー4位。


↑トルコ盤

スイス32位。


↑ユーゴ盤

日本洋楽チャート1回目のヒットで、



1973年4月2日35位初登場、
以後
17-16-13-12-8-6-6-(5/27)5-7-7-7-11-13-17-24-29-(7/29)32位。
5月27日に最高位5位。18週。





歌謡チャート最高位24位。18.8万枚。



そのパーフェクトにおののきながら渾身で訳します。



http://youtu.be/O1eOsMc2Fgg




Strumming my pain with his fingers
 あの人の指が私の痛みをかき鳴らす

Singing my life with his words
 あの人の詞が私の人生を唄う

Killing me softly with his song
 あの人の唄で私はやさしく打たれてゆく

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で

Telling my whole life
 私の全人生を語る

with his words
 あの人の詞が

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で


↑スペイン盤

I heard he sang a good song
 私は聞いた、彼がいい歌を唄うって

I heard he had a style
 私は聞いたの、彼にはスタイルがあるって

And so I came to see him
 だから私は彼に会いに行った

To listen for a while
 しばし聞き入るために


And there he was this young boy
 そこには若き少年がいた

A stranger to my eyes
 私の目に飛び込んだ異邦人が


Strumming my pain with his fingers
 あの人の指が私の痛みをかき鳴らす

Singing my life with his words
 あの人の詞が私の人生を唄う

Killing me softly with his song
 あの人の唄で私はやさしく打たれてゆく

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で

Telling my whole life
 私の全人生を語る

with his words
 あの人の詞が

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で


↑76英盤


I felt all flushed with fever
 顔が全部、熱気でほてっていくのを感じたわ

Embarassed by the crowd
 観客の中で恥ずかしくなってしまった

I felt he found my letters
 感じたの
 あの人は私の手紙を見つけたんだって

And read each one out loud
 一人ひとりに大きな声で読んだ

I prayed that he would finish
 祈ったわ
 早く終わって欲しいって

But he just kept right on
 だけど彼は一言も違えず続けた


Strumming my pain with his fingers
 あの人の指が私の痛みをかき鳴らす

Singing my life with his words
 あの人の詞が私の人生を唄う

Killing me softly with his song
 あの人の唄で私はやさしく打たれてゆく

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で

Telling my whole life
 私の全人生を語る

with his words
 あの人の詞が

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で



↑ポルトガル盤


He sang as if he knew me
 彼はまるで私を知ってるみたいに唄った

In all my dark despair
 私の暗闇の絶望を何もかも込めて

And then he looked right through me
 そして彼は私のすべてを見通してしまった

As if I wasn't there
 まるで私がそこにいないみたいに

And he just kept on singing
 彼はただ歌い続けた

Singing clear and strong
 はっきりと力強く歌い続けたの


Strumming my pain with his fingers
 あの人の指が私の痛みをかき鳴らす

Singing my life with his words
 あの人の詞が私の人生を唄う

Killing me softly with his song
 あの人の唄で私はやさしく打たれてゆく

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で

Telling my whole life
 私の全人生を語る

with his words
 あの人の詞が

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で


おーおーおー
おお
おーおーおーおーおーーー

らっらっらっらあらー
おーおーおー
おーおーおー
らああああああーーー

らーーーあ、らーあ、ら、ああーー


↑アンゴラ盤

Strumming my pain with his fingers
 あの人の指が私の痛みをかき鳴らす

Singing my life with his words
 あの人の詞が私の人生を唄う

Killing me softly with his song
 あの人の唄で私はやさしく打たれてゆく

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で

Telling my whole life
 私の全人生を語る

with his words
 あの人の詞が

Killing me
 私は打たれてゆく


He was strumming my pain
 あの人は私の痛みをかき鳴らした

Yeah, he was singing my life
 いえい、私の人生を唄った


Killing me softly with his song
 あの人の唄で私はやさしく打たれてゆく

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で

Telling my whole life
 私の全人生を語る

with his words
 あの人の詞が

Killing me softly
 私はやさしく打たれてゆく

with his song
 あの人の唄で



さてこれほどまでに唄われた張本人のドン・マクリーン兄さん
曰く

「そりゃもう仰天しました。私はロリさんとロバータさんの両方を聞きましたが
言わねばなりません、何もかも全てに謙虚になっておりますと。」

照れまくっております。



(山)2015.4.12

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00000-1.jpg



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ろっくす特製でかいジャケットのページ也。

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資料

資料(英版)

English Version
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閲覧ありがとうございます。
僭越ながら
ウチのバンド、Lovers Holidayの曲です。
お聞きくだされば幸いです。

http://www.youtube.com/playlist?list=PL3A8FE17D2271FEAA


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