
水の中のASIAへ
松任谷由実
1981/5/21
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

水の中のASIAへ

ろっくす特製でかいジャケットのページ也。

スラバヤ通りの妹へLIVE
http://jp.youtube.com/watch?v=vWiZIE6hAns
Hong Kong Night Sight & 冷雨LIVE
http://jp.youtube.com/watch?v=wxX04RiOVyU
わき役でいいから 〜 ユーミンLIVE
http://jp.youtube.com/watch?v=8uVHaL3U4C0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この盤だけは、どうしょもありません。
一応いつものように、「巷の値段」としてCDのリンク貼っておりますけど、アマゾンの。
そこで買っていただければ紹介料で1枚うん十円我が家の家計に入らせていただき米や馬券に化けさせていただきまことにありがたき次第なんすが、こればっかは・・・・
正直申しレコードプレーヤーを買って頂き、あ、そうかプレーヤーのリンクを貼ればいいのか、
audio-technica AT-PL30 レコードプレーヤー
このオーディオ・テクニカのヤツは秀逸です。激安でしかも針の寿命は恐らくプレーヤーがイカれるまで。パソコンにも直結出来ます。
で、そんで、街の中古レコード屋さん、なるべく小さいとこの方が有る可能性あり、でブツを発見して買って聴いていただく方が吉。
45回転12インチ(LPサイズ)4曲入りのアルバムです。
水の中のASIAへ
松任谷由実師

変形つうか手にとって開けてびっくりの変則豪華ジャケにもなってて。ですから今日は丸ごとスキャンしてません。一部のみ。
まだお持ちで無い方の入手時のお楽しみを害しては申し訳無しで。
まことに美しき風景の写真。これはこのサイズで無いと。字の大きさをも含めて。
そしてレコード。
CDが登場する直前、80’sにこの12インチ45回転のレコードが世を席巻しました。
多くはリミックス長尺別ヴァージョンシングルとしてですが、最初は意味が違い。
それはとてつもなく音が良いんです。
溝の密度を大きく取れる訳ですから、もう格段に。しかも独特の音。アナログの暖かさと立体感、臨場感。
一回聴いたら忘れられません。今でもこの形態で音楽聴くのが一番良い音だとわたしゃ思ってます。
おそらく松任谷の正隆旦那さんは、ビバップ・デラックスのライブ盤や、グラハム・パーカー氏のライブ盤の4面の「ドント・アスク・ミー・クエスチョン」、
トドメはジョイ・ディヴィジョンの「トランスミッション」

を聴かれて驚愕なさったのでしょう。
一回はこれで出さねば。って。
そしてそれに相応しき渾身の4曲。あの”サーフ&スノウ”の次として。
今思えば、それをやるにこれほどバッツグーンな時は無く(その後CD時代になる訳すから)、この時しか無い存在になって・・
その判断、慧眼、天才です。プロデューサーとしてユーミンさんが仰るとおり。
そして時代は、リズムの時代、世界のリズムの時代真っ盛りでした。
トーキング・ヘッズ、ピーター・ガブリエル氏、ジャパン、ロックは世界へ飛び出して行く。
日本で飛び出して行くとしたら、それはアジア。
現地の音階、リズム、ばりばり取り入れてそれを為すのか?
違います。
それは臭いのみ。いつもといささかも変わらぬ、ユーミン節。それもいつもより王道の。
異国への旅で感じた事を、自分の感覚で音楽にする。
違う文化に接する時、それは常に違う歴史を持った、違う地で生きる方々への理解が必要となります。
音楽でそれをやるとしたら、現地のミュージシャンと一緒に共演してそれにどっぷり漬かるか、先ほど書いたように自分のと混ぜてやるか。
それも有りなのは結果を出して名盤とした先の方々を見るに明らか。
しかしそれは常に付け焼刃の危険を伴い、形だけ、その時、その場だけのものになってしまうやもしれぬ。
実際、ブームとして今は忘れられたものも数多く。
どの場合も他者への共感は自分の立場でしか有り得ません。しかるに旅人としての自分を元に音楽をするのが一番真摯で自然ではないかと
このご夫妻は感じたかと。
だからこそこの時でしか出来ぬことで有りながら、現在でもいささかも古くなることが無い作品となり候。

自国との苦い歴史を持つ異国で寂しい老人の視線を感じながら、お姉さんとして少女の頭を撫でてる姿が目に浮かぶ、
「スラバヤ通りの妹へ」
せめて”らっさ・らっさ・さんやげー”の歌の続きだけは知りたくそれを通じて仲良くしたい。
ひこうき雲を思い出す素晴らしい曲です。

都会の東京からホンコンへ。そのまま機中の人の歌、
「HONG KONG NIGHT SIGHT」。
アッパーな気分。曲は旦那さん。歌詞はご本人。自分以外の作曲の歌を歌ったのはこれだけだそうです。
77年の正隆さんのアルバムで初出の曲だと。
さすが一番理解しあう同志。言われなきゃわからんほど同一化してる。
でも、どこか・・・はっきり申してあっさりしてるとゆうか。歌詞の力で持ち上げられ。
物凄く丁寧に歌ってます。腫れ物に触るように。気を使っているとしか思えぬほど。
曲作りの才能は、細君の方に分が有るのは明らかで、それは本人も旦那さんもわかり過ぎるほどわかってる。
丁寧に歌えば歌うほどそれが浮き彫りになり。
何でそれほど夫さんに気を使うのか?
それはづっと由実さんが抱えてる業につながり、この盤の最後の曲にも。
でも、それでも正隆さん、やりたかったんだろうな。この形態で自分の曲を。
以後、同一化してるならする必要も無いってことでこれが一期一会、そして大切な曲に。

あっとゆうま濃くA面が終わり裏返し、
「大連慕情」。
1977年に女優の萩尾みどりさんへ提供した曲だとゆう。

必殺のアーバン・スティーリー・ダン・サウンド。クールファイブ、ランディ・ニューマン氏と並ぶ地名詠み歌の名手の面目躍如、
「だいれん」のキメメロがこんな風に出来る方は無類。
自分の爺様、婆様、父ちゃん母ちゃんがいささかでもナマナマで関わりのある中国。それぞれの気持ちに突き刺さります。
で、
今回はさすがにミニ・アルバムだから、定番となったラスト曲の暗黒は無いかと思ったら・・・
「わき役でいいから」
”サーフ&スノウ”に直結するオールディーズなミドルアッパーで有りながら歌詞は、
「泣きじゃくり」の「夢の中のわき役でいいから登場させて」だの、一方的片想い、しかも海越え。
これは強烈です。しかも例によって名曲。
それがこのどーんとした音質でパノラマで展開す。
その異型さがこの味を増すことに間違いありませぬから、
レコードは素晴らしいのだ。

(山)2008.2.11
ろっくす荒井さんのページ
資料
The English translation page : here.
.